安全・快適に!ご高齢者の入浴介助のコツと注意点
2016/07/27
入浴は、リラックスや安眠、血行促進など心身にさまざまな良い効果をもたらし、感染症や褥瘡(じょくそう)の予防効果もあります。しかし、ご高齢者の入浴は転倒や血圧の変化などへの十分な注意も必要です。今回はご高齢者の入浴介助のポイントを、在宅介護がはじめての方にも分かりやすくお伝えしていきます。
ご自宅での入浴介助の基本的な手順

入浴前
①脱衣室・浴室をあらかじめ室温25度くらいに温めておき、ほかの部屋との温度差がないようにします。
②トイレは済ませておきましょう。
③バイタルチェック(体温・血圧・脈拍・呼吸・表情など)を行います。
④転倒予防のために安定したいすに座り、手すりをつかめる状態で衣服を脱ぎましょう。リハビリのために、なるべくご自身で着脱していただくことが大切です。
※片麻痺(まひ)がある場合は、健側(麻痺がない方)から脱ぎ、患側(麻痺がある方)から着ます。(脱健着患といいます。)
※衣服は、ボタンではなくマジックテープのもの、ゆったりとして伸縮性があるものを選ぶと着替えのご負担を軽減できます。
⑤褥瘡(床ずれ)や皮膚トラブルの有無など全身の状態をチェックします。
入浴中
①滑りにくいいすに腰をかけ、手すりにつかまっていただきます。
②声をかけてから、お湯を足元からかけます。
③陰部を(できるだけご自身で)洗います。
④髪と顔を洗ってから、身体を洗いましょう。
⑤脱衣室に出る前に、タオルで身体を軽く拭きましょう。>
入浴後
①転倒予防のために足の裏を拭いてから、乾いたタオルで身体全体を拭きます。
②安定したいすに座った状態で服を着ます。
③必要に応じて、耳掃除・爪切り・保湿クリームの塗布などを行いましょう。
④十分に水分補給をして、しばらく休憩することが大切です。
⑤入浴前と同じくバイタルチェックを行い、入浴後も体調の変化に気をくばります。>
入浴介助を安全に行うための注意点

・食事前(空腹時)や食事直後の入浴は避けましょう。
・入浴中は、心臓に遠い部分から温めていきます。
・熱いお湯は身体への負担が大きいため、湯温は40度くらい(夏場や血圧が高い方は38度くらい)に保ちます。
・浴槽につかるのは5分ほど、入浴時間は10~15分ほどにとどめます。
・入浴中に体調が悪くなった場合は、すぐに出るようにしましょう。
・移動するときは、めまい・ふらつき・転倒に十分注意します。
ご自宅で取り入れることができる工夫

・脱衣室・浴室には多くの物を置かず、スペースを広めに確保することがポイントです。
・転倒防止のために、手すりや滑り止めマットなどを用意しましょう。
・浴室の壁・いす・浴槽など肌が触れるところは、シャワーをかけて温めておきます。
・浴室のいすには、直接肌が触れないようにタオルを敷いておきましょう。
・髪や身体を洗うときは、お湯の入った洗面器に足を入れて温めておくとよいです。
・片麻痺(まひ)がある場合は、健側(麻痺のない方)が手すりや浴槽と隣り合うようにします。
身体負担を軽減して安全をサポートする入浴補助用具
入浴用車いす(シャワーキャリー)

座ったままで部屋から浴室まで移動することができて便利です。背もたれや座面が調整できるタイプ、座ったままトイレで排泄ができるタイプなどがあります。
入浴用いす(シャワーチェア・シャワーベンチ)

身体を洗うときの姿勢が安定します。背もたれやひじかけがついたタイプ、座面回転タイプ、折りたたみタイプなどがあります。
浴槽用手すり

浴槽に取り付ける手すりです。浴槽をまたぐときに身体を支えます。ご高齢者が握りやすいところに設置することが可能です。
入浴台(バスボード)

浴槽をまたぐことが困難な場合は、浴槽の縁にかけた入浴台に座りながら浴槽内に移動することができます。
入浴用介助ベルト
移乗するときなどに使用します。転倒防止に役立ち、介助者の負担も少なくなります。
浴槽内いす
浴槽内にいすを置くことで楽に出入りができ、座った姿勢も安定します。浴槽が深い場合や半身浴をしたい場合にも便利です。
すのこ(浴室内・浴槽内)
浴室の出入口や洗い場、浴槽内などに使用することで、つまづきや転倒の防止に役立ちます。
※入浴補助用具は、介護保険を利用できるものもあります。
※入浴補助用具の使い方、症状・環境などに合わせた選び方について詳しくは、ケアマネジャー、福祉用具(貸与)販売店などへ相談してみましょう。
訪問入浴介護・訪問介護・デイサービス

入浴介助は、ご自身だけではなくご家族にとっても負担が大きいものです。
要支援・要介護認定を受けている方でご家族だけでの入浴介助が難しい場合は、デイサービスを利用して入浴したり、訪問入浴介護や訪問介護サービスを利用してご自宅で入浴したりすることもできます。
あずみ苑の訪問入浴介護サービスについてはこちらをご覧ください。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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