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「パーソン・センタード・ケア」とはどんなケアなのか?

2018/07/13

「パーソン・センタード・ケア」とは、1980年代末に英国の心理学者(故)トム・キッドウッド教授によって提唱された、認知症高齢者を一人の人として尊重し、「その人の視点や立場に立って理解しながらケアを行う」という認知症ケアにおける考え方の一つです。


提唱された当時、世界中に大きな影響を与え、わが国でも徐々に普及しつつあると言われているこの「パーソン・センタード・ケア」とは、どのような考えた方なのか、実際に介護等の現場でどのように活用できるのかについてお伝えします。

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パーソン・センタード・ケアが生まれた背景

パーソン・センタード・ケアが生まれた背景

パーソン・センタード・ケアが提唱される前の英国では、認知症高齢者について、「何もわからない人」「奇妙な行動をする人」という考え方で介護が行われていて、相手の立場や想いを考えることなく、時間になればオムツの交換をし、施設のスケジュールで入浴介助を行うといった、流れ作業のような介護が行われていました。

しかし、当時、トム・キッドウッドは自ら施設に出向き、そこにいる認知症高齢者を膨大な時間をかけて観察し、認知症高齢者を物のように扱ったり、「こんなこともできないのか」と見下したりする風土を、施設全体で変える必要があると考えました。

そして、認知症高齢者が同じ行動をとるわけではなく、その人の生活歴や習慣、趣味や性格などの背景に着目し支援することで、悪化しているように見える認知症の状態も、改善できるかもしれないと考えたのです。

この考え方が、"その人、一人ひとりの視点や立場にたって理解しながらケアを行う"パーソン・センタード・ケアが生まれることにつながりました。

認知症の人の心理的ニーズ

認知症の人の心理的ニーズ

パーソン・センタード・ケアを実践するうえでは、認知症の方が「何を必要としているのか」「何を求めているのか」といった「認知症の人の心理的ニーズ」を理解することも重要になります。

トム・キッドウッドは、認知症の人の持っている「心理的ニーズ」を理解するうえで「一人の人間として無条件に尊重されること」を中心にし、「共にあること」「くつろぎ」「自分らしさ」「結びつき」「たずさわること」という6つのことが重要であると考え、それを「花の絵」で表現しました。

花の絵

認知症の方が「自分らしくありたい」「結びつきを持ちたい」など、自ら意思を明確に発することは難しいかもしれませんが、「なぜ、できないのか」「どうして、こちらの意にそぐわない言動があらわれるのか」を支援する側が理解し、相手の求めている「ニーズ」を理解することが、認知症ケアを行う上でも、パーソン・センタード・ケアを実践するうえでも重要となります。

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認知症患者を理解する手がかり「5つの要素」

認知症患者を理解する手がかり「5つの要素」

認知症の方の言動は、脳の障害だけで起こっているのではありません。「パーソン・センタード・ケア」を実践する際には、その言動を引き起こす原因となる「5つの要素」を理解することが大切です。

① 脳の障害(アルツハイマー病・脳血管の障害など)
② 健康状態(視力・聴力・内服薬の影響など)
③ 本人が今までたどってきた生活歴(本人のライフスタイルや過去の生活歴など)
④ 本人の性格(性格・こだわりなど)
⑤ 社会心理(今までたどってきた本人の人間関係の傾向など)

このような「5つの要素」は、本人のたどってきた性格や嗜好などを理解するうえでも、その人にあったケアを探るうえでも大切なものとなります。

認知症ケアマッピング(Dementia Care Mapping)とは

パーソン・センタード・ケアを行うために、実際の介護等の現場で活用されているのが「認知症ケアマッピング(Dementia Care Mapping)」です。アルファベットの頭文字をとって、「DCM」とも呼ばれます。「DCM」は、認知症高齢者を数名のグループに分けて、一人ひとりの状態を6時間以上観察し、次のような内容を5分ごとに記録します。

1.今、本人が何をしているか(どのような言動をとっているか)

「仕事=A」「趣味=B」など、観察時に本人がどのような言動をとっているかをアルファベットで記載します。例えば、昔、清掃関係の仕事をしていた方が、テーブルに置いてあったおしぼりを持って、何度も同じテーブルを拭いていた場合、その方の過去の職歴などを考慮し「仕事に関する行動=A」と記録します。また、若い頃に野球に夢中だった方が、テレビのスポーツ中継が始まると、食事も手につかなくなったり、ケアスタッフの声掛けにも反応を示さないといった場合には、「趣味に関する行動=B」と記録します。

2.本人の状態は良い状態か?良くない状態か?

この項目では、観察時の本人の状態(あらわれている感情や他者とのかかわり等)を数値化し記録します。「例外的に良い状態」から「最も悪化した状態」まで6段階に分けて記載することで、観察時に行っていた言動によって本人がどのような状態になるのかをデータ化することができます。

3.本人と介護者とのかかわりはどうか?

ここでは、観察時に本人とかかわっていた介護者がどのような言動を取っていたか記録します。これは、介護者の質を観察するものではなく、介護者の言動によって、本人にどのような影響や変化があらわれるのかを確認するものとなります。

このように、本人の「言動」「状態」「介護者とのかかわり」の3つを記録することで、どのような支援を受けて、どのような状態にあるのか理解することができます。


パーソン・センタード・ケア

本人の立場に立ってケアを行うことは当然のことですが、その背景にあることを理解していないと実践するのはなかなか困難でもあります。

オムツ交換や、入浴や食事の介助など、日々忙しい介護現場ではありますが、今回ご紹介した「パーソン・センタード・ケア」の実践が、認知症高齢者のケアと理解の一助となるかもしれません。

ライター:たつや

30歳のとき、両足骨折の大けがをきっかけに介護の世界に飛び込んで、はや15年以上。介護福祉士と介護支援専門の資格を取得。日々、ご高齢者のお世話に携わりながら、ライター業務に励む日々を送っております。

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