生活相談員ってどんな仕事? 求められている役割から考える
2016/08/31
様々な介護の現場で活躍している生活相談員。その仕事内容は多岐にわたります。生活相談員に期待される役割について考えてみました。
生活相談員とは?

相談業務に関わる職種は、1963年に制定された老人福祉法において、生活指導員として初めて位置づけられました。当時は、責任者である行政が必要なサービス内容を決定し、ご高齢者はそれに従った生活を送っていた措置時代です。生活指導員という呼び名も「ご高齢者の自立更生を指導する」という考え方がベースとなっています。
しかし、時代とともに、介護を受けるご高齢者は「サービス内容は自分で選択し決定する」へ、介護職は「専門職としてご高齢者の選択を尊重し自立を支える」へと、社会の考え方も変わっていきました。それに伴い、相談業務もご高齢者の自立を支援し、生活における困難解決のための相談にのる立場へと意味合いが変化していきました。そして、2000年に介護保険制度ができ、現在の生活相談員という名称が誕生しました。
生活相談員の資格要件
生活相談員には、下記のような一定の資格要件が定められています。
①国が定めるもの(社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当するもの)
※社会福祉法施行規則にて補足
・社会福祉主事任用資格者
・社会福祉士
・精神保健福祉士
②都道府県独自のもの
※政令指定都市及び中核市によって要件が異なるので確認が必要ですが、たとえば下記のようなものがあります。
・介護支援専門員
・介護福祉士
・老人福祉施設の施設長経験者
・一定期間以上の介護職経験のある人 など
生活相談員の主な職場や仕事内容

多岐にわたる活躍の場
生活相談員の職場は、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、老人保健施設、デイサービスなど、多岐にわたります。そして、たとえば、特別養護老人ホームでは「入所者100人に対し1人置くこと」、デイサービスでは「サービス提供時間を通して、1人以上置くこと」など、必置義務が設けられています。
生活相談員の主な役割
生活相談員の主な役割として、以下のものがあります。
・ケアマネジャーとの連絡窓口
・入所施設の入退所手続き業務。居宅サービス(通所、短期入所など)の利用開始・中止に係る業務(利用者面接とアセスメント)
・居宅サービス(通所、短期入所など)の個別援助計画の作成業務。入所施設のケアプラン作成への援助業務
・入所・利用中の相談援助業務
・利用者・利用者家族との相談業務
・地域との連携・調整
・苦情の窓口調整業務
ただ、その責務や業務について、法令上の具体的な規定はありません。業務の幅が広いため、自らの専門性に悩む人がいたり、ときに「何でも屋」と呼ばれることがあります。
しかし、介護の現場にいるからこそ見えてくる「介護の質を向上させるためのヒント」があるはずです。生活相談員は「より良い介護のために何をすればよいか」という視点を持ちながら現場から得たヒントをもとに、その解決策を探る、介護サービス向上のためのキーパーソンとなる存在なのです。
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。
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