訪問介護(ホームヘルプサービス)で「受けられること」「受けられないこと」
2016/06/15
訪問介護(ホームヘルプサービス)は、ご高齢者の在宅での生活を支えるために欠かせないサービスとして、デイサービス、ショートステイと並んで「在宅3本柱」と呼ばれています。今回は、訪問介護(ホームヘルプサービス)のサービス内容を「受けられること」「受けられないこと」に分けて、わかりやすく解説します。
訪問介護(ホームヘルプサービス)とは?

訪問介護(ホームヘルプサービス)は、ホームヘルパーや介護福祉士がご利用者の住居を訪問して、身体介護と生活援助などを行うサービスです。訪問介護を利用できるのは、要介護1から5までの人です。
なお、要支援者向けの介護予防訪問介護(介護予防のために身体介護と生活援助を合わせた訪問介護サービス)は、2014年度の介護保険制度の改正において地域支援事業の訪問型サービスに移行しています。
身体介護
ご利用者の身体に直接接触して行う介助サービスのほか、日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のためにご利用者とともに行う自立支援のためのサービスです。
生活援助
掃除や洗濯などの日常生活の援助。
※ご利用者が単身、またはご家族と同居していてもご家族が障害や疾病などのため家事ができないなど、やむを得ない場合にしか支給されないという給付条件があります。
訪問介護で受けられるサービス

身体介護と生活援助のサービス内容
- 身体介護
- ・排せつ、食事、清拭・入浴の介助
- ・就寝・起床、更衣の介助
- ・身体整容、洗面
- ・体位変換
- ・通院、外出介助
- ・自立支援のための見守り援助
- ・特段の専門的配慮をもって行う調理(嚥下困難者のための流動食・糖尿食等の調理)
など
- 生活援助
- ・掃除、洗濯、ベッドメイク
- ・衣類の整理・被服の補修
- ・一般的な調理・配下膳
- ・買い物・薬の受け取り
など
介護スタッフが対応できる行為の範囲
介護現場では、爪切り、薬の内服介助、検温、血圧測定、座薬の挿入などの行為が必要になる場面も多いです。しかしこれらの行為は、原則としてご家族以外は、医師や看護師などにしか許されていなかったため、医療スタッフの負担が多くなっていました。
そこで、2006年度の介護保険制度改正以降、徐々に介護スタッフが対応できる行為の範囲が広められてきています。原則として、医療行為ではない下記の行為は、「身体介護」として、サービスを受けることができます。
- 原則として医療行為ではないもの
※身体介護として受けることが可能 - ・爪切り
- ・体温測定
- ・血圧測定
- ・耳垢の除去
- ・ストーマ(人工肛門や人工膀胱)装着のパウチにたまった排泄物の廃棄
- ・医薬品の使用の介助(軟膏の塗布*、湿布の貼付、点眼薬の点眼、坐薬挿入など)
など
*褥瘡の処置を除く
痰の吸引や経管栄養の提供については、一定の研修を受けて認定特定行為業務従事者認定証の交付を受け、実施に際しては、医師の指示や看護職員らとの連携のもとで行う必要があります。
訪問介護で受けられないサービス
介護保険の訪問介護(ホームヘルプサービス)の特徴は、「要介護者のご本人だけを対象としたサービスである」ということです。そのため、ご家族の分の食事を作ったり、ご家族の部屋の掃除をしたりすることはできません。
また、庭の草むしりやペットの散歩など、日常生活の援助に該当しない行為もできません。
家具の移動や電気器具の修理、大掃除、窓のガラス拭き、床のワックスがけ、家具の修理など日常的な家事の範囲を超える行為、商品の販売や留守番、農作業等の援助も対象外です。
前述した介護スタッフの医療行為については、門戸が開かれる方向へ向かっていますが、インスリン自己注射や摘便などは訪問介護(ホームヘルプサービス)では行えず、医療系スタッフが対応します。
訪問介護(ホームヘルプサービス)で、「受けられること」「受けられないこと」のわかりにくさもあり、戸惑われるご利用者やご家族も多くいらっしゃいます。しかし、大変なことが多い在宅介護。ぜひ、訪問介護(ホームヘルプサービス)の内容をしっかりと理解して、より充実した在宅生活を送るために、ご活用いただきたく思います。
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。
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