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  • 2024/04/01

レオパレス大学 税務学科「相続時精算課税制度について」~知って得する”税金”コラム~

こんにちは。レオパレス大学です。

本日は税理士の先生より「相続時精算課税制度について」をテーマにお届けしてまいります。

では、早速講義に進みましょう!

0123相続時精算課税制度とは

まずは、従前の制度上の「相続時精算課税制度」についてその内容と実際の利用についてお話したいと思います。

 

①制度の概要

「相続時精算課税制度」とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

この制度を選択すると、贈与財産の累計額が2,500万円(特別控除)までは贈与税がかかりません。累計額が2,500万円を超えると、その超えた部分に対して一律20%の贈与税が課税されます。

その後、当該制度の贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時は、その相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額を加算して相続税額を計算します。

 

②制度の注意点

この「相続時精算課税制度」を選択して、その適用を受けるためには一定の要件を満たす必要があります。前述の通り対象者が限定されている点や、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要がある点等、適用をご検討される際に、注意が必要です。

また一度この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、二度と「暦年課税」へ変更することができないので、慎重に判断する必要があるかと思います。

 

③実際の制度利用

従来この制度はあまり使い勝手のよいものではないという意見が多い制度でした。なぜなら、①の制度の概要で説明した通り、贈与財産の価額が丸々相続税の計算に加算されてしまうからです。

つまり贈与時には税金を払わない場合でも、相続時にその部分についての相続税を支払わなければならない場合があり、「暦年課税」による年110万円の基礎控除を利用した方が、手数も少なく節税効果を得られやすい、と判断する方が多かったようです。

また不動産を贈与する場合には比較的贈与財産の価額が高額となる場合が多く、2,500万円まで贈与税がかからないというメリットが活きそうなイメージですが、当該制度を利用して土地を贈与した場合、その土地は「小規模宅地等の特例」という相続税の引き下げ効果のある特例を使うことができない、というデメリットがあり、かえって相続税が高額になる可能性が発生し、これも実際の選択利用をしない判断に至る原因のようでした。

 

0123新しい相続時精算課税制度(令和6年1月~)

次に令和6年1月1日以後の贈与について適用される「相続時精算課税制度」の改正内容についてお話したいと思います。

 

①基礎控除110万円の新設

令和6年1月から適用される今回の改正により、前述した特別控除の2,500万円とは別に年間110万円まで基礎控除が認められます。それに伴い、「相続時精算課税制度」を選択したうえで年間110万円までの贈与を実行した場合、従前にはなかった下記のような特徴があります。

特徴その1:贈与税の申告が不要になる

改正前は「相続時精算課税制度」を選択した場合、金額に関わらず贈与税申告が必要でしたが、今般の改正により年間110万円以下の贈与については贈与税申告が不要になります。これにより、選択利用の1つのハードルであった税務申告が不要となり、利便性が向上することが見込まれます。

特徴その2:相続税の計算上加算される価額から控除される

改正前は「相続時精算課税制度」を選択した場合、金額に関わらずすべての贈与財産を相続税の計算上、相続税の課税価格に加算して相続税を計算する必要がありましたが、今般の改正により年間110万円までの贈与財産は相続財産に加算する必要がなくなります。また「暦年課税」においては今後複数年にわたり「生前贈与加算」の対象となってきますが、改正された「相続時精算課税制度」においては期間関係なく生前贈与した財産の価額が相続税の計算に加算される対象にはなりません。

 

②従前と変わらない部分

一方で改正後も従前と変わらない部分としては、一度「相続時精算課税制度」を選択すると、「暦年課税」に戻ることはできません。年間110万円の基礎控除新設のみを判断基準に「相続時精算課税制度」を選択してしまうと、後からの軌道修正が困難になることもありますので、「暦年課税」に戻れないという認識と、選択前の検討は必要になろうかと思われます。

また「相続時精算課税制度」を選択して土地などを贈与した場合には、その土地は「小規模宅地等の特例」を使えません。この部分も従前と変更ありませんので、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性がある土地を贈与する場合は慎重な検討が必要となります。

 

 

0123まとめ

「相続時精算課税制度」については、今般の改正により、以前よりは選択利用する方々が増えることが予想されます。その反面、どこからどこまでが基礎控除の範囲内でどの部分が相続税の課税対象になるのかをキチンと記録整理しておかないと、いざ相続が発生した際に計算上加算する贈与財産の計上漏れや過大計上が生じる可能性もあります。

また、一度この制度を選択してしまうと暦年課税制度に戻ることができない等のデメリットも内包しながらの改正ですし、同時に改正された「暦年課税」の生前贈与加算制度との比較も含めて、「相続時精算課税制度」は依然慎重に選択判断をすべき制度かと思われます。

生前贈与や相続でお悩みの方は、是非当事務所にご相談ください。

 

 

 

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