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  • 2019/06/17

【まとめ】平成31年度(2019年)税制改正大綱のポイントをわかりやすく解説

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毎年税制改正によって、少しずつ税金の額や範囲などが変わってきています。2019年の税制改正大綱でも、さまざまな税制改正がありました。今後どのような影響があるのか、生活に関わりのある制度を中心に、チェックしておくべきポイントをまとめていきます。

 

住宅に関わる改正

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住宅については、主に住宅ローン利用者の所得税額特別控除、近年話題になっている空き家の譲渡所得特別控除の改正などが行われました。

住宅ローン利用者の所得税額特別控除が一定期間延長

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住宅ローン控除は通常10年ですが、今回の改正によって、一定の期間だけ3年間延長して、13年となります。適用される住宅は、消費税10%が適用された住宅を取得し、令和元年(2019年)10月1日から令和2年(2020年)12月31日までに居住した場合です。

10年目まではこれまで通り、住宅ローンの年末残高1%となります。ですが、11年目以降は、住宅ローンの年末残高1%もしくは、住宅取得対価(税抜き)の2%を3で割った数のいずれか低い額が適用されます。これは令和元年(2019年)10月の消費税増税の調整をするためです。

【例】一般住宅の11年目の控除額

1) 30万円(住宅借入金等年末残高 × 1%)
2) 3,000万円 × 2% ÷ 3 = 20万円

この場合だと、2の20万円が控除額として反映されます。

空き家譲渡所得の特別控除の解釈が拡大

被相続人から相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円の特別控除について、改正によって被相続人が老人ホーム等に入所しており空き家になっていても、一定の要件を満たしていれば、適用対象となりました。

また、特別控除の期間も延長されました。令和元年(2019年)12月31日までの譲渡が対象でしたが、4年延長され、令和元年(2019年)4月1日から令和4年(2023年)12月31日までの譲渡も対象となります。

 

子育てに関わる改正

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子育てに関わる制度について、主に住民税の非課税枠、直系尊属からの一括贈与の特例について改正がありました。

住民税非課税枠が拡大

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既存の法律では、生活保護受給者以外は合計所得125万円が基準となっていました。今回の大綱では子育て支援のため、未婚の母や父、婚姻が続いていても配偶者の生死が定かでない人が追加されて、令和3年(2021年)以後の個人住民税に適用されます。

教育資金一括贈与の特例の見直し

教育資金一括贈与の特例とは、「直系尊属(父母、祖父母など)から教育資金を一括で贈与された場合、所定の手続きにより1,500万円までなら課税されない」というものです。ただしその後、受贈者が30歳に達した時点で残額がある場合は、その残額が一括で贈与されたとみなして贈与税が課税されます。

これについて、平成31年度(2019年)の税制改正大綱では以下の変更がありました。

教育資金管理契約の終了事由
年齢条件については緩和され、30歳に達すると使われなかった教育資金に課税があったものの、条件を達成すれば最大で40歳まで契約終了期間を延ばせるようになりました。

教育資金の範囲
これまで対象だったスポーツなどの指導の対価(サークルや部活を想定)等が、23歳以上で対象外となります。

受贈者の所得制限
受贈者の所得が1,000万円を超える場合は適用対象外とされました。

一部相続財産の対象になる
通常、教育資金一括贈与を受けた財産は、契約期間中の贈与者の死亡で相続税が課税されることはありませんでした。税制改正によって、適用対象外を除いて、信託受託権などの贈与については贈与者死亡日の残額について相続税の対象となります。

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結婚や子育て資金一括贈与の特例に所得制限

直系尊属からの一括贈与の特例は、教育資金だけでなく、結婚や子育てを目的にしたものもあります。今回の改正では教育資金の一括贈与と同様、お金を受ける人の所得制限1,000万円が2年間延長されます。

 

 国民健康保険税に関わる改正

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平成30年(2018年)から1年越しに限度額、減額の計算に改正がありました。

国民健康保険税限度額引き上げ

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国民健康保険税の限度額は、基礎賦課額3万円が引き上げられました。大きな額にも感じますが、関係してくるのは中間所得層よりも上の層です。家族構成にもよりますが年収約800万円〜1,100万円前後の人に関わってきます。

国民健康保険税減額計算の変更

高所得者層で国民健康保険税の引き上げがあった一方、低所得者層のうち減額対象は拡大しました。これは、5割軽減の対象者と2割軽減の対象者の軽減基準所得の計算が改正されたためです。

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仮想通貨やNISAに関わる改正

一時出国者のNISAの継続利用

これまでNISA口座は、日本国内に住む20歳以上という制限がありました。そのため、海外転勤で一時的に出国する場合は対象外となってしまい、課税口座に移管しなければいけません。

こうしたNISAの便をよくするため、出国前に継続適用届出書を提出後、一時出国から5年を経過する12月31日までに帰国届出書を提出すればNISAを引き続き利用できるようになりました。

仮想通貨の評価額の制定

仮想通貨については、これまでどのように価格を評価するかは法令で定められていませんでした。国税庁公表の計算例で、移動平均法がよいとされてはいたものの、強い実行力は持たなかったのです。

今回の改正では、個人の所得税については、「総平均法」または「移動平均法」とすることとなりました。

総平均法も移動平均法も、取得価格の平均で評価する点は同じです。違いは、総平均法は一定期間(基本期間終了まで)の平均を評価するのに対し、移動平均法は都度平均を計算して評価することです。

【例】期間中、以下のように仮想通貨を買い付けたときの評価額
1/10:1BTC(時価15万円)
3/10:1BTC(時価30万円)
6/10:1BTC(時価25万円)
8/10:1BTC(時価40万円)
10/10:1BTC(時価60万円)を引き出した
12/10:1BTC(時価50万円)

【総平均法の場合】
(15万円 + 30万円 + 25万円 + 40万円 + 50万円) ÷ (1BTC + 1BTC + 1BTC + 1BTC + 1BTC) = 32万円

【移動平均法の場合】
(15万円 + 30万円) ÷ (1BTC + 1BTC) = 22.5万円
(22.5万円 × 2BTC + 25万円) ÷ (2BTC + 1BTC) = 23.333…
(70万円 + 40万円) ÷ 4BTC = 27.5万円
(110万円-60万円) ÷ 4BTC = 12.5万円
(50万円 + 50万円) ÷ 5BTC = 20万円

 

車の課税に関わる改正

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自動車の課税に関しては、燃費達成基準がより厳しくなり、場合によっては税額が上がる可能性が出てきました。

税率軽減割合の変更

一定の燃費基準を達成したエコカーは自動車取得税、自動車重量税、自動車税において、エコカー減税が受けられます。その中で今回改正があったのは、自動車取得税と自動車重量税について。

燃費基準達成率 + 40%以上のエコカーは依然として、自動車取得税免税、自動車重量税非課税ですが40%に満たない部分に変更があり、税軽減割合が下がりました

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自動車取得税から環境性能割

令和元年(2019年)10月より、自動車取得税が廃止され、環境性能割(非課税~3%)が導入されます。これにより、燃費の悪い車の課税がより厳しくなりました。

なお、自動車取得税におけるエコカー減税は、2019年9月までの適用で、環境性能割ではエコカー減税は適用されません。

自動車税とグリーン化特例の見直し

グリーン化特例は、自動車税や軽自動車税において燃費のよい車の税負担を軽減するものです。

これまで一定の燃費水準を達成したものは適用対象でしたが、令和3年(2021年)4月1日以降は適用対象が電気自動車などに限られることになりました。

また、自動車税に関連して、令和元年(2019年)10月以降に新規登録を受けた車は、1,000円~最大4,500円の減額が適用されます。これは消費税増税が影響しています。

 

 その他の改正

成年年齢引き下げ

成人年齢は、国際的な基準に合わせて20歳から18歳に引き下げられることになり、令和4年(2022年)4月1日から施行されます。

それに伴って、相続時精算課税や直系尊属からの贈与の特例、NISAなどは18歳以上に、ジュニアNISAや相続税の未成年控除は18歳未満に変更されます。

確定申告書添付書類が減る

医療費控除の領収書など、近年確定申告書の添付書類は減少傾向にありますが、平成31年(2019年)4月1日以後の確定申告において、さらに添付書類が減少し、申告がより楽になります。

添付が不要になるのは、給与所得や公的年金の源泉徴収票、特定口座年間取引報告書、配当金の支払通知書などです。

ふるさと納税基準の厳格化

総務省では度々、返礼品について過度にならないよう通達がありましたが、基準がより明確になりました。令和元年(2019年)6月1日以後の寄附金に適用されるのは、返礼品3割以下、地場産品に限定するというもの。

ふるさと納税の過熱化による地域の税収の格差が背景です。しかし、地場産品に限定されるという点などで地方には波紋が広がり、ふるさと納税の利用者にも選択肢の減少などが懸念されます。

森林環境税(仮)の創設

国内に住所のある個人は、個人住民税と合わせて森林環境税(仮)の支払い義務が発生し、国民1人あたり1,000円が住民税に上乗せされることが検討されており、令和5年に課税が開始予定です。導入の理由は、適切な森林環境を整えるためです。

 

まとめ

一部、期間限定で適用されるものもありますが、教育資金一括贈与や結婚資金等一括贈与のほか、車や空き家に関する改正など、生活に大きく関係してくるものも見られました。直近で自分自身に関わってくる制度についてはよく確認しておきたいですね。

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