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  • 2021/02/15

相続税「更正請求」で本当にあったおトクな話

親子で学ぶ・考える!相続ゼミナール 相続税「更正請求」で本当にあったおトクな話 株式会社藍不動産総合鑑定所 不動産鑑定士・宅地建物取引士 徳元 康浩 氏

今回は、相続時に申告した不動産評価の更正請求に関するお話。
適用する規定によって、相続税法上の土地の評価額を大幅に下げられ、税額も下げることができた実例を紹介します。ご家族でご一緒に学び、将来について話し合う機会としていただければ幸いです。

「広大地」の規定を適用して
土地相続税4000万円の還付に成功!

固定資産税の土地の評価額は課税当局が決めてくれますが、相続税に関する土地の評価額は、相続人が自ら計算する必要があります。

「財産評価基本通達」(以下、「評価通達」)に基づき、多数ある規定の中から適用すべき規定を判断して評価額を計算し、それに基づいた税額を支払います。

課税当局は、それを審査し、適否を判定します。その結果、評価額が低く算出されていると判定された場合には、修正申告を促されます。ただし、評価額が高く算出されている場合には、それを親切に知らせてくれることはありません。不要な税金を納め過ぎないようにするには、納税者自身が土地の評価額に関する規定についてしっかり理解しておく必要があるのです。

動産の価格水準には、
大きくは4つの種類があります。

① 地価公示等で公表されている価格
② 相続税路線価に基づく価格
③ 固定資産税評価額の価格
④ 取引市場における実勢価格

②は①のほぼ80%に設定されています。土地評価減の規定のうち、「広大地」(注1)または「地積規模の大きな宅地」(注2)は、②の価格水準よりさらに大幅に減額できます。

注1:広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法の開発行為に当たって公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの。
注2:地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏は500㎡以上、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の宅地で一定の要件を満たす宅地。

大地の規定は平成6年に設定され、その後、算定の煩雑さ等から平成16年に改正されました。改正によって、算式は非常に簡素化されたものの、そもそも広大地に当たるかどうかについて、納税者と課税当局での見解の相違が多く発生し、不動産の専門家による判定意見書が必要となっていました。そこで、判定基準を明確化するため、平成29年の改正に至り、地積規模の大きな宅地の規定となり、評価減の程度は広大地の規定に比べると抑制されることになりました。

今回、ご紹介するのは、広大地を適用して、「更正の請求」(税金を納め過ぎてしまった際に税金を戻してもらう手続き)を行って還付に成功した事案です。

対象地は、埼玉県・南東部、最寄駅から徒歩約13分の住宅地域内にある1700m²の土地。平成28年冬の相続時には自宅建物が建っていました。約2億円の評価額は、更正の請求によって約半額に減額することができました。

広大地を適用できるかどうかの重要なポイントは、相続時点においてその土地が更地であった場合、道路を新設して区画割りの戸建住宅地として利用される使い方がベストな土地であるかどうかです。なお、相続時点において低層アパート等が建っていた場合や、相続後にアパート等を建築した場合でも適用できる可能性はあります。

土地評価の計算式

案の土地がある地域は、戸建住宅のみならず、賃貸アパートや中層マンションが混在し、戸建住宅地域ではなく共同住宅地域と見なされる可能性もありました。しかし、その地域における建物用途の中長期推移のほか、取引市場における将来動向についても分析・検討し、平成30年春に「広大地判定意見書」を提出しました。

それに対する課税当局からの〝物言い〟は特になく、その年の夏には、約4000万円が無事に還付されました。

広大地適用に関する更正の請求は、平成29年12月31日までに発生した相続で、かつ、申告期限後5年以内(相続発生日から5年10カ月以内)のもの、すなわち最長で令和5年10月31日までは可能です。

一度支払った税金を税務署から取り戻すわけですから、当然、認められるためのハードルは当初の申告よりも高くなります。しかし、不動産鑑定士等による「広大地判定意見書」を添付することで、成功する可能性はアップします。仮に請求が通らなくても、追加納税のリスクはほとんどありません。過去の申告内容をこの機会に見直し、専門家に適用可能か否かを相談したうえで、更正の請求を検討してみてはいかがでしょう。

続対策は、分割・納税・節税の3本柱をバランス良く行うことが重要です。不動産を多く所有する方々は、不動産コンサルティングの専門家や、相続・事業承継に強い税理士の協力を得ながら、常にアンテナを張って最新情報を把握するよう努めてください。将来、相続が発生したときに、円滑・円満・有効な結果を導き出すことができるはずです。

知らなかったばっかりに大損をすることもあれば、知ってさえいれば大きな恩恵を受けることもできます。本当にあったおトクな話でした。

株式会社 藍不動産総合鑑定所 不動産鑑定士・宅地建物取引士 徳元 康浩 氏
株式会社 藍不動産総合鑑定所 不動産鑑定士・宅地建物取引士
徳元 康浩 氏

不動産鑑定を柱に、不動産の売買仲介及び相続コンサルティング業務に携わる。主に相続分野を中心に、税理士や弁護士など複数の専門家と連携しながら適正な不動産評価による円満相続・係争解決の実現に尽力している。

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