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- 2019/03/15
2019年に新設された「出国税」とは?課税対象や時期、例外的なケースを解説
2019年10月1日に10%へと引き上げられる消費税が注目を集めていますが、生活にかかわる税金として2019年1月7日から「出国税」がスタートしたのをご存知でしょうか。
今回は出国税について詳細な内容や支払い方法、今後考えられる生活への影響などをご紹介します。
2019年からスタートした「出国税」
2019年1月7日から国際観光旅客税、通称「出国税」が導入されました。これは船や飛行機などを使って日本を出るときに課される税で、日本からの出国1回につき1,000円が徴収されます。
飛行機を利用する場合、航空券以外にも以下のような料金が発生します。
課税対象になる人
ビジネス、観光、留学、就業など原則として目的を問わず海外に行く日本人に課税されます。来日していた外国人が帰国する場合、日本を経由して海外に行く旅行者も課税対象です。
課税対象にならない人
飛行機などの乗組員、強制退去者、天候などのやむを得ない理由で海外に行けず日本に戻ってきた人は不課税対象となります。また、24時間以内に出国する乗り継ぎ客や、2歳未満の子供は非課税対象者となります。
公的な理由などで税金の免除を受けられる場合もあります。国賓や公用で日本に派遣されてきた人や、公用で日本に滞在していた国連軍や合衆国軍などが該当します。
出国したものの、途中で日本に帰着した場合
出国税は基本的に出国とともに賦課されるものですが、出国したものの天候などの影響で海外に帰着することなく日本に戻った場合などは課税されません。航空券の支払いで一度は支払っているものなので、どのように還付されるのか確認しておきましょう。
対象となる期間は?
出国税は、2019年(平成31年)1月7日以後の出国から課税対象となりました。基本的に1月7日よりも前に契約した航空券については課税されませんが、出国税の徴収について契約に明記されている場合は課税対象となります。
出国税が導入された背景と目的
出国税が導入される背景には、日本国内の観光資源の充実させ、資源に乏しい日本の経済を観光によって活性化させるねらいがあります。
政府は、2016年時点で年間2,400万人だった訪日外国人客の数を、2020年には4,000万人、2030年には6,000万人に拡大することを目指しています。
訪日外国人を増やすには、海外に日本を接客的にアピールする機会を作っていくほか、海外からの観光客が安心して日本で過ごせるよう観光施設を充実していく必要があります。その財源確保のために出国税が導入されました。
観光地の行き方やイベント情報、宿泊先や両替ができる場所といった情報をすぐに手に入れられるようなアプリの開発や、顔認証システムによる出入国審査の迅速化、Wi-Fi使用可能箇所の増設、観光地での多言語案内板の設置といった環境整備に使われる予定です。
2020年の東京オリンピックの開催も視野に入れて、2019年にスタートします。国内の観光資源整備によって国内旅行がより快適になることは、国内に住む日本人にとってもメリットです。
税金の支払い方法
出国税は、航空券などに上乗せされる形で支払うことになるため、別途納税手続きなどは必要ありません。
特別なケースではどのように支払う?
プライベートジェットなどで出国する場合はチケットに上乗せする形での徴収ができません。そのため、利用者自らが観光旅客税を別途支払う必要があります。納税については、出国前に税関で済ませておかなければなりません。
納税地になるのは、出入国港の所在地を管轄する税務署です。ただし、プライベートジェットなどの利用者であっても、ハンドリング業者(地上作業サービス業者)や代理店に委託している場合は、代理の手続きで直接支払わなくてもよいケースもあります。
出国税で生活はどう変わる?
出国税で影響を受ける可能性があるのは、プライベートで海外旅行によく行く人です。
1回につき1,000円なので比較的負担の軽い税に感じられますが、家族旅行の場合は人数分の負担になりますので、回数が増えればそれなりの負担になりそうです。
出国税は経費にできる?
プライベートだけでなくビジネス目的の渡航の場合、業務上必要な渡航や必要な範囲内に関しては、基本的には出国税を経費にできます。これは海外渡航費と経費の関係と同じです。
つまり、出張の多い会社員については、業務上必要な渡航はすべて経費にできるということです。業務上必要でない部分に関して、給与として精算され課税されることになります。なお、業務上必要なものかどうかは、基本的に業務出張報告書などで証明しなければなりません。
個人事業主に関しても会社員と基本は同じです。しかし、個人事業主は会社員のような給与がないため、業務上必要ない部分については「個人事業主貸」科目を使用することになります。
また、個人的な用事を含めた渡航の場合は、プライベートとビジネス両方の性質がある部分に関しては家事按分といってビジネス部分とプライベート部分の割合を出して経費にあげなければなりません。
海外にもある出国税
海外では出国税は決して珍しいものではありません。アメリカでは、ビザ免除国からの渡航者に14米ドル(1,500円程度)、オーストラリアでは出国者に60豪ドル(5,000円程度)、韓国では出国者に1万ウォン(1,000円程度)の出国税が課せられ、億単位の財源を得て成功している国も多いです。
出国税だけでない、世界で拡大している「砂糖税」
出国税以外にも海外で拡大している税金が砂糖税です。肥満率の増加は社会的問題であり、健康志向のヨーロッパ諸国をはじめ、日本に近いタイやフィリピンなどアジア諸国で強い関心が寄せられています。砂糖税以外にも、同じく人々の健康を懸念してスナックや清涼飲料水にも税金を導入している国があるほどです。
日本にも砂糖税が実在した?
実は日本でも明治から昭和にかけて、砂糖消費税という税金が存在していました。しかし、これは健康を意識したものではなく、当時砂糖が高級品だったことが理由で、現代の砂糖税とは性格がまったく異なるものでした。
日本で砂糖税は導入されるのか
現代の国際的な風潮に乗って日本でも砂糖税は導入されるのでしょうか。実は、過去には有識者から政府に砂糖税など健康リスクのあるものに対しての税金課税の提言はありました。しかし、国内の砂糖消費や農家保護の理由から、税制改正要望にまで至っていないのが現状です。
脂肪税やポテトチップス税など、砂糖税に似た世界の税金は「こんなものにも税金が!世界の個性的でユニークな税金10選」でも紹介しています。
まとめ
消費税増税は生活と直結するため多くの注目を集めていますが、恒久的な国税としては27年ぶりの新しい税でもあり、大きなニュースです。今後導入されるかもしれない砂糖税など、生活にかかわる税金については常にアンテナを張り巡らせておきたいですね。
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