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  • 2020/06/15

国際相続で本当にあったおトクな話

親子で学ぶ・考える!相続ゼミナール 国際相続で本当にあったおトクな話 国際相伊藤国際会計税務事務所 公認会計士・税理士 伊藤 耕一郎 氏

今回は、事前の準備を怠れば「コワ〜イ結果」にもなりかねなかった国際相続を、「おトクな結果」へと導くことができた実例をご紹介します。
海外で暮らす、海外の不動産を購入するなど、日本の法律の枠外の海外での相続案件も増えています。
グローバル時代ならではの相続についても、ご家族でご一緒に学び、将来について話し合う機会としていただければ幸いです。

海外不動産購入時に信託を設定、煩雑な手続きも、多額な相続税も回避!

国際相続とは、相続財産や相続関係者が国境をまたぐ相続のことを指します。具体的には、相続財産が外国にある、被相続人が外国に暮らしていた、相続人が外国に暮らしているなど国際的な要素が関わる相続です。

国際相続は、ただでさえ複雑な日本の相続手続きや相続税の問題に加え、外国の制度の影響も受けるため、手続きに手間がかかるケースが少なくありません。特に欧米では相続案件に関与する弁護士や会計士の報酬が高額で、費用もかさむ場合があります。

だ、事前の準備をしっかりしておきさえすれば、相続税額や各種経費を節約することができます。今回ご紹介するのは、アメリカ(カリフォルニア)に不動産を保有していたご夫婦のケース。ご主人が亡くなり、国際相続案件として相談を受けました。

日本には戸籍制度があるため、誰が相続人になるかは比較的明確に分かります。しかし、戸籍制度がないアメリカでは、そもそも相続人が不明確で、まずは相続財産を誰が受け取るのかを特定することから始めなければなりません。生前に何も準備しないままアメリカ財産保有者が亡くなると、この相続人特定の手続に多くの手間と時間を取られることになります。

おトクになったポイント

①ご夫婦が直接不動産を保有するのではなく、アメリカでの「信託」(図1)を設定していたことです。その際、財産の保有者が亡くなった場合に誰がどのように財産を引き継ぐかを決めておいたため、相続人が明確になり、不要な手続きを省略することができました。また、ご夫婦が自身で信託の受託をするように設定していたため(図2)、外部に支払う費用も節約できました。

ちなみに、信託は日本でも設定することができ、アメリカ現地での相続の手続きを簡略化できます。また、日本で法人を設立して、法人を経由してアメリカの財産を保有すれば、より簡単に同様の効果が得られます。

②ご夫婦がアメリカ在住時に不動産を購入し、信託を設定していたことです。日本では不動産を購入する場合、夫が必要資金の全額を負担しつつ、所有権は夫婦で半分ずつの共有名義としても、妻に不動産の半分を贈与したことになり贈与税がかかってしまうことがあります。

今回のケースでは、ご夫婦のアメリカ滞在期間が長かったため、日本の贈与税の対象とはなりませんでした。このため、相続が発生した際には不動産の半分についてのみ相続税の対象となり、相続税の負担を大幅に減らすことができました。

図1:信託のしくみ
図1:信託のしくみ

図2:自己信託

本国内の経済の先行きが不安視されているなか、海外不動産への投資を検討する方たちも増えています。しかしながら、自分が死んだ後のことまで考えて投資する方は稀のようです。今回ご紹介したケースのように、相続発生時も想定しながら投資方法について検討することで、結果的に大きな経費の節約や大幅な相続税の節税につながることがあります。事前の十分な検討と専門家への相談が必須ということ! 国際相続で本当にあったおトクな話でした。

国際相続が発生する典型的なケース

① 国外財産を保有している場合
海外に財産を保有していると、日本でも現地でも相続税がかかる場合があります。また、現地で相続税がかからなくても、現地での相続手続きが複雑・長期間にわたる場合があります。今回のケースで紹介したように、海外財産の保有方法に一工夫することで大幅な節約ができることがあります。

② 相続人が海外に居住している場合
海外に財産がまったくなかったとしても、相続人が海外に居住している場合、国際相続が発生します。子が海外で暮らしていても、親が日本で亡くなると、子に日本の相続税がかかってしまいます。相続の手続きや相続税申告の準備をどのように進めるかなど、相続税の額だけでなく、実務的にも大変な事態になります。

③ 国際結婚で配偶者が亡くなった場合
国際結婚の場合、配偶者が亡くなり相続が発生すると、まずはどちらの国の法律で相続手続きを行うのかという問題が生じます。また、国際結婚の場合、国外財産を保有していたり、日本以外に居住している場合も多く、②と同様の注意が必要です。また、国際結婚では、子が日本国籍ではないケースもあります。相続税・贈与税のかかり方は本人の国籍や居住状況によって大きく異なるので十分な検討が必要になります。

国際相伊藤国際会計税務事務所 公認会計士・税理士 伊藤 耕一郎 氏
国際相伊藤国際会計税務事務所 公認会計士・税理士
伊藤 耕一郎 氏

京都大学大学院工学研究科卒後、公認会計士資格を取得。ゴールドマン・サックス証券会社他勤務を経て、2011年、伊藤国際会計事務所開設。法人及び個人向け税務顧問のほか、海外資産への投資に関する税務セミナーの講師も務める。

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