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オーナー様のお店探訪

  • 2017/09/15

「形を変えながら伝統の味を守る。次の世代に残す挑戦を続けていきます」

田中長たなかちょう奈良漬店 田中 長兵衞様【京都府京都市下京区】

京都で200年以上も続く老舗の奈良漬店がホテル併合ビルに建て替えられ、新装開店しました。
伝統の味と愛着のある場所を守るには「本業第一」の姿勢を貫くことが大切と、オーナーの田中長兵衞様はおっしゃいます。

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京都の町並みに溶け込む和風の店構え。
「以前のお店(ページ下部写真参照)の雰囲気を残すこと」も田中様のこだわりの一つでした。

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正面入口を入ると、ゆったりとした販売スペース。
奈良漬けのまろやかな香りがふんわり漂う。

■時代の変化の中で伝統を継承する

もともと辛口の保存食であった奈良漬を、みりん粕を使い、現在のようなまろやかな味わいとする製法を考案したのが、田中長奈良漬店の初代、和泉屋長兵衞さんでした。「創業当時は、みりん製造を生業にしていました。みりんを絞る時にできる粕を使って野菜を漬け込んだところから商品名は『都錦味淋漬みやこにしきみりんづけ』。『都錦』は、当時のお店で製造していたみりんと焼酎の商標です」と、オーナーの田中長兵衞様。

ウリやナス、キュウリ、スイカなど、塩漬けにした野菜を酒粕に漬け込み、漬床を何度も替えながら段階的に塩分を抜いて粕のうま味を閉じ込める。手間と時間をかけて丁寧に仕上げていく製造工程は、創業から受け継がれてきたもの。「奈良漬を完成させるには2年ほどの月日がかかります。また、お客様に安定して商品をお届けするには、野菜の不作に備えたストックも持たねばなりません。漬物屋をする人はいても、奈良漬屋になる人はいないですよ。作るのも保管するのも大変ですから」と田中様は笑います。

しかし、伝統の味と技を受け継ぐ一方で、田中様は時代の変化にも柔軟な姿勢で臨まれます。「時代によってお客様の味覚は違うものです。好みのお酒の味が変われば、酒粕の味も変わり、奈良漬の味にも変化が生まれます。でも、時代と供に少しずつに形を変えてきたからこそ、今も続いているのだと思います」。

作業室では、田中様の娘さんが自身の考案した、ニンジンと長イモの粕漬けを箱詰め中。

じっくり丁寧に仕上げた本格的な奈良漬『都錦味淋漬』

■本業を守り続けてこそ土地活用ができる

これまで使用していた町家造りの建物の建て替えを考え始めたのは3年ほど前のこと。「建て替えに際していろいろな利用法を考えようということになり、レオパレス21に選択肢を検討してもらいました。そして、その中で、今のホテルとのご縁をいただいたのです」と田中様。

同店のある場所は、四条烏丸の交差点近く。京都の観光スポットとして人気の高い錦市場や河原町は徒歩圏内、地下鉄駅にも近いという、観光の拠点には絶好の立地です。「この場所を自分たちだけでなく、皆さんにも使っていただくことで、一つの社会貢献になればという思いがあります。また、長期のテナントとしてホテルに借り上げてもらえるのも、オーナーとしては当面安心していられます」と、今回の建て替えを振り返ります。

「ただ、本業をきちんと守り伝えることができてこその不動産活用だと思うんですよ。このことは次の世代にも申し送りをしていきたいですね。定番を大切にしながら、より良い商品をご提供するための取り組みも大切にする。私自身も、これからの世代に何かを残せるよう挑戦を続けていきたいと思っています」。

ホテル着工前、埋蔵文化財の発掘がありました。
発掘された一部の器は店舗内で展示しています。

以前のお店

オーナーの田中 長兵衞様

ホテルの入口には正面左の細い路地からアクセス。
これも京都の町並みを連想させる演出です。

田中長(たなかちょう)奈良漬店

TEL:
075-351-3468
HP:
http://www.tanakacho.co.jp/

田中長奈良漬店の商品は、お取り寄せもできます。

※紹介店舗に関するお問い合わせについては、上記URLよりご確認ください。
※オーナー様と掲載者様のやり取り等で発生した問題等については当社は一切責任を負いかねます。