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2015/05/15

さわやか、麺を元気に美味しく

「クラス エル ニュース」最新お届け号から、スタッフおすすめレシピをご紹介します。

夏バテ対策にぴったりのさわやかな味 トマトそうめん

材料(2人分)
そうめん 3束/トマト 2 個/大葉 5 枚/オクラ1パック/鶏むね肉 1枚/めんつゆ(ストレートタイプ)100cc/コチュジャン 小さじ1/2/ごま油 小さじ1/白すりごま 大さじ2
①ゆでたオクラとトマトをお好みの大きさに切り、鶏むね肉をゆでて細かく裂きます。
②めんつゆ・コチュジャン・ごま油を混ぜてタレを作っておきます。そうめんをたっぷりのお湯でゆでてザルにあげ、流水でもみ洗いします。
③水をきったそうめんと①の材料を②でつくったタレで和え、細切りにした大葉と白すりごまを散らせば出来上がりです。

和 麺のコシのお話

麺のコシに相当する英語はchewyで、噛みごたえがあると表現されます。パスタの茹で具合を表すイタリア語のアルデンテのデンテも歯という意味です。日本で麺のコシと言った場合には、もう少し豊かな、口の中全体で味わう感覚かもしれません。

うどんやそうめんのコシの秘密は小麦粉に含まれるグルテンというたんぱく質です。小麦粉に加える水の量によってできるグルテンの量が違い、多めに水を加えて丹念に打つことでコシは強くなります。面白いのは、柔らかいことで有名なもの、たとえば伊勢うどんなどはグルテンの量が少ないというわけではなく、時間をかけて茹で上げて柔らかくしているということです。丁寧につくられたうどんは、お好みに合わせ、時間をかけて柔らかく仕上げても美味しく頂けるというわけです。

そばは、コシはコシでも喉ごしということになるかもしれません。奈良時代に伝来したというそばは元々蕎麦粉を団子状にして茹でたそばがきで食されていました。今のように包丁で切って麺状になったのは16世紀のことと言われ、そば切りを振舞う記録が長野県の定勝寺というお寺に残っています。

韓 栄養バランスのお話

冷麺に欠かせない赤くて辛いキムチの歴史は比較的新しく、18世紀の誕生とされています。唐辛子は元々アジアには無く南米が原産で、大航海時代にポルトガル人が日本に運び、日本から朝鮮半島に伝わりました。秀吉が伝えたとも言われています。

キムチには、麺で摂取した糖をエネルギーに変える役目をするタウリンやアスパラギン酸が豊富です。唐辛子に含まれるカプサイシンは脂肪の燃焼を促進して身体の中を暖め、四季を通じて健康の大敵である冷えを抑えます。ヨーグルトに負けないほどの乳酸菌を含んでいるのもキムチの特徴で、腸内環境を整えます。

具となる焼き豚とゆで卵と果物の彩りは、見た目の楽しさだけではありません。麺を主食に主菜・副菜が勢ぞろいした、栄養摂取のフルコースともなっています。栄養をバランスよくまんべんなく摂れますから、夏バテが気になる季節にぴったりのメニューです。

食べる時にはお酢を忘れずに添えましょう。酸っぱさが食欲を増すことはもちろんですが、有機酸であるお酢は、麺や肉類を食べることで発生する乳酸の分解を手伝い、食物をエネルギーに変えやすくする役目を果たします。

中華 麺の製法のお話

ラーメンという呼び名が全国的に広まったのは1953年、その年に発売された即席ラーメンがきっかけです。南京そば、支那そば、中華そばがそれ以前の愛称でした。中国語の拉麵あるいは老麺が語源とされています。

中華麺は一般的に黄色の色合いが特徴です。炭酸ナトリウムと炭酸カリウムを主成分とする「かん水」を小麦粉に加えて打つことで、黄色の色合い、コシ、香りが生まれます。19世紀中ごろの横浜、外国人居留地に出来た屋台が発祥と言われ、日本で特に好まれて工夫が重ねられました。生地を伸ばして切ったままのものを角麺、形を整えたものを丸麺、幅を持たせたものを平打ち麺と呼びます。縮れ麺は、手で揉むものもあれば機械を使って圧縮をかけるものもあります。縮れの工程をかけていないものはストレート麺と呼ばれます。

本国中国では「かん水」を使った麺の方が珍しいそうです。山西省は一説に麺発祥の地と呼ばれますが、日本のうどんの生地に近いものを包丁で削り、鍋に直接落として茹で上げる刀削麺をはじめ、撥魚(ポーユイ)と呼ばれる、お箸で細身の小魚のような形に弾いていくものなど、イタリアのパスタに近いものが多いようです。

定番の梅干と海苔とゴマ。 五辛(ごしん)とは?

ちょっとしたトッピングで栄養充実食に。 もりうどんやもりそば、そうめんに添える薬味は、彩りの楽しさはもちろんですが、それぞれに効能を考えた古来の知恵でもあります。薬味という言葉には、生薬という意味も同時にあるのです。 定番の薬味といえば、まずは梅干、海苔、ゴマです。梅干に豊富に含まれるクエン酸は血流の改善を促すとともに血管の老化を抑えます。クエン酸にはカルシウムの吸収を助けて骨を強くする働きもあります。ツユや出汁を薄味に仕上げて梅干の味に頼ることで減塩効果も期待できる薬味です。 きざみ海苔をふったものを「ざる」、ふらないものを「もり」と呼びますが、発祥は定かではありません。ツユの違い、竹ざるを使った盛り付けの違いなど、一般的となった江戸時代に違いが生まれたことは確かですが、明治以降、その違いをはっきりとさせるために、値の張るほうに海苔をかけて「ざる」としたとされています。もちろん、高級感を出すばかりが海苔の役目ではありません。海苔は大豆に負けないほどの高たんぱく食品で、同時にカルシウムなどのミネラルも豊富です。 ゴマが時に不老長寿の丸薬と呼ばれることもあるのは、不飽和脂肪酸がたっぷりと含まれているからです。悪玉コレステロールの低減を助けて生活習慣病の予防が期待できます。香りの高い黒ゴマ、柔らかい風味の白ゴマ、味わいの深い金ゴマの三種類があり、東日本では黒ゴマ、西日本では白ゴマが好まれます。すって薬味にする方が、栄養の吸収には良いのでおすすめです。

水戸黄門が使った薬味「五辛(ごしん)」を参考に。 黄門様の呼び名で知られる水戸光圀公が中国渡来の麺を食べたという記録が1669年にあります。ここから日本で最初にラーメンを食べたのは黄門様だとも言われています。そのときに用意した薬味が生姜、にんにく、ニラ、ねぎ、らっきょうで、五辛(ごしん)と呼ばれます。それぞれ肝、心、脾、肺、腎の五臓の気を発する生薬とされ、生のままを刻んで小皿に盛り、薬味にしました。生の方が効能が高いとされていますが、胃腸に優しく、火を通してふりかけに仕上げて薬味にする方法もおすすめです。五辛からお好みのものを選んで刻み、ごま油で炒め、あらかた火の通ったところで醤油、酒、砂糖少々を加えて汁気がなくなるまで炒めれば五辛のふりかけの出来上がりです。酒と砂糖少々だけで炒め、最後に味噌を加えて混ぜ合わせれば五辛みそになります。つくり置きをしておくと、うどんやそうめんの薬味に使えるばかりでなく、ごはんのおともにもなり便利です。

塗りの器と焼物の器。

麺の種類と器の相性、楽しみ方について。 麺類の楽しみのひとつに、器があります。もりやざるのうどん、そばを頂く時の蕎麦猪口は、施された模様の美しさと小ぶりで扱いやすいこともあって、コレクションの対象にもなっています。中国あるいは韓国での呼び名「ちょく」に漢字を当てたものとされ、動物の猪とは関係が無いようです。元々は和え物、酢の物の盛り付けに使っていた小さな器を、江戸時代中頃から酒の器、ツユの器として使い始めました。

薄手で光を通す感じがあり、叩くと金属音のするものが磁器、手に持ったときに厚手で光を通す感じが無く、叩いたときに鈍い音がするものが陶器です。木製の器に一般的には漆を塗ったものが漆器で、西洋にはこの手の器はあまりなく、海外では日本独特の器としてJAPANと呼ばれます。断熱性が高いのが特徴ですから、暖かいうどんやそばは、大ぶりの漆器で楽しむのもおすすめです。器を手に持ち、背すじを伸ばして麺類を食べるのは、和食のマナーにもかなうとされています。また、それがいちばん美味しく食べる方法だと言う蕎麦店主の声もよく聞きます。

蕎麦猪口には陶器のものも磁器のものも、またガラス製のものもあるようです。これからの季節、ますます美味しくなるそうめんの盛りつけに、大きめのガラス器はいかがでしょうか。涼やかさはもちろんですが、二人前、三人前と盛り付け、家族でお箸でとりわけ合うひとときは格別です。

監修 飯田充代 いいだみちよ

1961年生まれ。青山学院大学卒業。フラワー、健康、食など暮らし全般の快適を考える記事づくりを手がけるフリーエディター&ライター。月刊雑誌『100歳まで美しく強く生きる 毎日が発見』(角川書店)で「一坪食堂」コーナーを担当。構成・編集とともにレシピ、調理も手がけた。ドクターが提案する健康食本の制作も。