1993年に発足した道の駅は、次々に新駅が作られ、現在は1194箇所を数えます。（2022年2月現在）
当初は地元直産市場のイメージでしたが、最近は洗練された建物が増え、食事や土産品も充実しています。
また、温泉や体験施設、宿泊所を備えた道の駅もあり、旅行の目的地にもなっています。

利根川沿いにある千葉県香取市、小江戸と呼ばれる佐原地区は、江戸時代から舟運、商業で発展した街で「江戸優まさり」と言われるほどでした。街を流れる小野川の両岸に、当時の街並みが続く景観は、関東で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けました。

ところが近年、商売をたたむお店が増えてきました。そこで観光で活気ある街を目指そうと、国・千葉県・香取市が協働して、全国でも珍しい道の駅川の駅が一体となった『水の郷さわら』が誕生しました。

「もともとここは利根川の河川改修に使った浚渫船しゅんせつせんを係留するドック施設でした。観光施設と同時に、水害対策のための防災ステーションとしての機能を兼ね備えるということで活用が決まりました」と川の駅支配人の吉田玄ひろしさん。

「お客を呼ぶには駐車場が必要です。景観を壊さず駐車場を確保するために、少し離れた所に車を停めてそこから移動してもらうことを考えて、川の駅から古い街並みまで往復できる遊覧船を用意しました。昔にならって船での移動です。船はさっぱ舟と呼ばれる木船です。もう職人さんがいないので新造は難しく、補修しながら大事に使っています。川風を受けながら、小江戸佐原の古い町並みを川面からご堪能するのもいいですよ」

川の駅は認定施設ではありませんが、全国でも年々増えていて、水の郷さわらの川の駅はその先駆けとも言えます。併設する道の駅の店長である高柳さんにもお話を聞きました。

「オープンは2010年の3月です。当時の道の駅としては、規模も大きく最先端の道の駅だったと思います。来場者数は年間130万人位です」。

香取市は、県内でも有数の米どころ、農産物も豊富です。

「産直野菜の品数と種類は、かなりあるほうだと思います。毎朝、地元の農家さんが配達してくれます。実はお客様の方が早く並びはじめ開店時間がどんどん早くなって、現在は8時開店。この時間に開店できるのも農家さんの協力あってのことなのです」。

佐原の古い町並みの中に、わが国最初の実測による日本地図「大日本沿海輿地全図だいにほんえんかいよちぜんず（伊能図）」を作成した伊能忠敬いのうただたか（1745-1818）の旧宅と伊能忠敬記念館があります。記念館には伊能図の原画や天体観測で使う象限儀しょうげんぎのほか、測量器具が展示されています。現在の日本地図との比較もあり、ほとんど違わないその精密さに驚愕を覚えます。また、計測した数値の記述や日誌も展示されており、丁寧で緻密な仕事ぶりに感心させられます。

道の駅から車で約20分の距離にある「水郷佐原あやめパーク」では、毎年5〜6月に「あやめ祭り」が行われ、約400品種150万本のハナショウブが咲き、多くの観光客が訪れます。