

8時間睡眠の常識のウソ
眠りに関してシニア世代のご相談で最も多いのは、「寝付きが悪い」、「何度も目が覚めて、眠りが浅い」、この二つです。よくよくお話をうかがってみると、「寝床に居る時間が長過ぎる」ことが原因であることがほとんどです。
必要な睡眠時間は年齢とともに短くなります。個人差はありますが、厚生労働省の指針によれば45歳は6時間半、65歳は6時間が目安。寝床にいる時間はプラス30分が適切です。不眠を訴える70代のある男性は、夜10時に就寝し、朝6時に起きるとのこと。「理想的な睡眠時間は8時間」という思い込みが、「(8時間)眠れない」という不要な悩みをつくり出していたのです。この方のように、働き盛りの頃に万年睡眠不足だった人ほど、リタイア後はたっぷり眠りたいという思いが強く、不眠に悩む人が少なくありません。
快眠は健康と若さの秘訣
眠りは量と質のバランスが重要です。質の悪い睡眠状態が長期間続くと、高血圧、糖尿病、うつ、がん、脳卒中などの病気にかかりやすくなります。また、最近では認知症のリスクが高まることも分かってきました。もちろん、肌の潤いや瞳の輝きも失わせます。
内面も外見もいつまでも若々しくあるためには、正しい眠りの知識と習慣を身に付け、良質な眠りを確保することが不可欠です。40、50代以上のシニア世代の生活や体力に適した、眠りの力を高めるメソッドをご紹介しましょう。
快眠力アップ術
「遅寝・早起き」のススメ
例えば朝6時起床とすると、65歳以上なら就寝は深夜12時前が適正な就寝時間。でも、いきなり「遅寝」が難しいならせめて11時くらいまでは頑張って起きていることから始めてみてください。
① うたた寝禁止!
日中はイキイキ活動して、疲れて眠くなって眠る。このサイクルを妨げるのが、うたた寝です。就寝8時間前からはうたた寝禁止!
シーリングライトで眠気撃退
調光・調色対応のシーリングライトがオススメです。日没後は白色、就寝1時間前くらいに電球色に切り替えるとスムーズに就寝モードへと移行できます。
② 疲れをためる

体は疲れがたまると深く眠れるようコントロールされています。体への負担が少ない運動が、寝付きを良くし、眠りを深くします。
四つんばいになり、対角線にある手と足を上げます少し止め、ゆっくり下ろします。左右で1セット、10回繰り返します。
トイレに起きて目が覚める
③ 目を刺激しない

廊下やトイレの照明の光が目に飛び込んでくると、脳が朝と勘違いします。照明の明るさをできるだけ抑えてトイレに行きましょう。
体の悩み別・快眠術
冷えや腰痛など体の問題が不眠につながっているケースもあります。
手足が冷えて眠れない
お風呂でよく温まり、その後体温が下がるタイミングで寝るのがコツ。また、冷えは筋力の衰えが要因の一つ。筋トレで快眠を確保!
④ ゴキブリ体操

ゴキブリが引っくり返って手足をブルブルさせているようなポーズをとります。
血流が良くなります。
30〜60秒続けます。1回3セットを目安に、毎日続けましょう
⑤ 手のひらセルフケア

手の親指と小指をこすります。
息を吐きながら温かくなるまでしっかりこすります。
足も温まってきます。
腰が痛くて熟睡できない
⑥ 腰の負担を軽くする

腰に負担がかからないマットレスを選ぶことが不可欠ですが、当面の対策として、
腰痛を和らげる寝方をご紹介します。
エビのように丸くなって横向きに寝ます足の間にクッションを挟めば、足の重みが分散されてさらに楽になります
イビキがひどく疲れがとれない
⑦ 気道を確保する

イビキがひどいと血液中の酸素が減少し、脳は十分に休むことができません。
あおむけに寝ると、重力で舌が喉の奥に下がり、気道が狭くなります。背中に枕をくくりつける「背枕」が効果的。あおむけで寝るのは苦しいので、自然に横向きになります
快眠のカギを握る寝具と枕

自分に合った「敷寝具と枕」を選ぶことも、快眠力アップの重要なカギ。
選び方のポイントは次の3点
『脳が若返る快眠の技術』

三橋美穂さんの最新刊。不眠と病気との関係から、ぐっすり眠れる理想の寝室まで、睡眠に関する最新の情報が盛りだくさん。
また、睡眠と認知症の関係なども詳しく知ることができます。
KADOKAWA刊・1200円(税別)
『スリーピース・カフェ』
三橋美穂さんが発信している睡眠情報サイト。
眠れない日が続いたら、アクセスしてみてください。
http://sleepeace.com
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