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特集:黒部ダム ─ダムの魅力を探る─ 特集:黒部ダム ─ダムの魅力を探る─

日本一の高さを誇り、日本の経済発展を支え続けた黒部ダム。ダムの王者。
誕生から半世紀が過ぎた今も北アルプスの大自然と共に人々を支え続けています。
大雨が降っても洪水がおこらない、日照りが続いても断水にならない。電気や飲み水もダムがあってこそ。
ダムは人知れず水を貯め、人知れず人を支えています。
一方でダムは周囲の自然環境を変えてしまうこともあります。
ダムのある風景は生活への恩恵と自然への影響を考えさせられる景観です。

監修・文・写真/宮島 咲、文/クラス エル マガジン編集部、撮影/後藤鐵郎
協力/株式会社関電アメニックス、立山黒部貫光株式会社、ホテル立山

黒部ダムとは

黒部ダムは富山県と長野県の県境近く、標高1454mの高地に建設。
2019年の観光期間は4月15日〜11月30日。

国内には2700基ほどのダムがあると言われていますが、その中で一番有名なダムは黒部ダムでしょう。富山県にあるダムで、高さ186mの国内ナンバーワンの高さを誇ります。映画『黒部の太陽』は、黒部ダムを建設するためのトンネルを掘るストーリーとなっており、石原裕次郎の熱演で話題を呼びました。この映画がきっかけで、日本一有名なダムになったと言っても過言ではありません。

黒部湖を周遊する遊覧船ガルベ
(2019年の運行は6月1日〜11月10日)。

黒部ダムは関西電力が所有するダムで1963(昭和38)年に完成しました。当時の日本は電力不足に悩まされ、電力の安定供給が課題とされていました。このダムが完成したことによって、関西地区に電気を安定して送れるようになり、日本の産業発展にも大きく貢献しました。

黒部ダムは山深い黒部峡谷に造られていますが、東の長野県側、西の富山県側からトンネルが掘られ、今では誰もが通れるようになりました。立山黒部アルペンルートは、年間約100万人も訪れる一大観光地なのです。

新展望広場特設会場内では、
映画『黒部の太陽』のトンネルセットレプリカを展示。

黒部ダムで取水された水は地下トンネルを通り、約10㎞先の黒部川第四発電所に送水されます。最大毎秒72m³の水を利用して最大33万5000kWの電力を生み出し、下流にあるいくつもの発電所を経由して再び黒部川に戻ります。別の呼び名として黒四くろよんダムという呼び名がありますが、これは、黒部川第四発電所の名称からきているものです。

大迫力の観光放水は、毎秒10t以上の水を放水
(2019年は6/26〜10/15)。

黒部ダムは電気を作ることが最大の目的ですが、観光にも貢献しているダムです。初夏から秋にかけて観光放水が行われ、堤体中ほどに位置するバルブ(栓)から放たれた水は、空中で霧状となり黒部峡谷に降り注ぎます。その様子はとても幻想的で、多くの人々の目を楽しませています。

※ 堤体(ていたい):ダムや堤防の本体。

【問い合わせ】
■黒部ダム
https://www.kurobe-dam.com

絶景を楽しみながら黒部ダムへ

みくりが池は、噴火によってできた火口湖。
美しい湖面に立山三山が映り込む。

黒部ダムは、富山県と長野県の県境近く、標高3000m級の山が続く中部山岳国立公園内にあります。マイカーでの乗り入れはできません。交通手段は立山黒部アルペンルートを利用し、長野県側の扇沢駅から黒部ダム駅までの電気バス。または、富山県側の立山駅から黒部湖までケーブルカー、バス、トロリーバス、ロープウェイを乗り継いで向かいます。富山駅から出発する朝一番の電車には、平日でも多くの観光客が乗り込んでいます。車窓には素晴らしい景色が広がり、立山連峰がどんどん近づいて来ます。

大観峰駅と黒部平駅を結ぶ立山ロープウェイ。
このエリアは雪崩が多いため、あえて支柱を作っていない。

美しい湿原が広がる弥陀ヶ原は
2012年にラムサール条約に登録された。

室堂平から見える満天の星。天の川や流れ星も綺麗に見える。

高さ20mもの大迫力の雪の壁。
4月中旬〜6月の期間中は雪の大谷ウォークとして片側車線を開放。

日本有数の観光ルートでもある立山黒部アルペンルートは、四季折々の風景を楽しむことができます。標高2450mの 室堂平 むろどうだいら では、春から6月まで、道路を除雪してできる雪の大谷が有名です。夏には湖面が美しい「みくりが池」や 弥陀ヶ原 みだがはら ではラムサール条約に登録された美しい湿原を散策できます。そして秋には 大観峰 だいかんぼう と黒部平を結ぶロープウェイから、眼下に広がる黒部湖と見事な紅葉が望めます。

もし、時間に余裕があれば室堂平での宿泊をおすすめします。刻々と光の色を変えながら沈む夕日、満天の星、 後立山連峰 うしろたてやまれんぽう からのご来光など、数え切れないほどの絶景を眺めることができます。この風景を楽しむために毎月訪れる人もいるそうです。

【問い合わせ】
■立山黒部アルペンルート
https://www.alpen-route.com

室堂平の「ホテル立山」では、宿泊者向けに星空観察会、ご来光バスツアー、雷鳥ウォッチングなどを行なっています。特別天然記念物のライチョウが日本全体の1割近く生息する立山。ツアーに参加し、その愛らしい姿を見つけられたら、観察証明書がもらえますよ。

【問い合わせ】
■ホテル立山
TEL.076-463-3345
https://h-tateyama.alpen-route.co.jp

標高が日本一高いリゾートホテルとして有名なホテル立山。

ライチョウを観察するなら5〜6月がおすすめ。

大観峰の雲上テラスで後立山連峰から昇るご来光を眺める。

黒部ダムの観光事業を行うくろよん観光事業部の伊藤さんにお話を伺いました。

株式会社関電アメニックス
くろよん観光事業部
マネージャー 伊藤元紀さん

─── 黒部ダムの特徴は?

伊藤 コンクリートダムには大きく分けてアーチ式ダムと重力式ダムとあります。アーチ式は両岸に水圧がかかる構造になっています。黒部ダムはアーチ式で設計されていたんですが、フランスのアーチ式ダムが岩盤の強度不足で決壊してしまったんです。それで黒部ダムも岩盤の強度テストを行いました。
その結果をみて、よりダムの安定性を高めるため両側は重力式に変更、アーチ式と重力式の複合構造を持つダムになりました。

─── 観光放水が人気ですね?

伊藤 2019年は、6月26日から10月15日まで観光放水が行われます。天気の良い日は虹がかかって非常に綺麗ですね。2016年にレインボーテラスを作り、放水をより迫力のある感じで見ることができるようになりました。

黒部湖から望む後立山連峰。

─── 伊藤さんのおすすめは?

伊藤 新展望広場で建設記録展をやっています。映画『黒部の太陽』のトンネルレプリカがあるんですが、奥のモニターでは、建設当時に携わっていた方々のインタビュー映像を流しています。技術者の話を聞いて、ダム建設のすごさや苦労を感じて欲しいです。

右上の施設は資材運搬やコンクリートを打設※する
ケーブルクレーンの基礎。

─── 観光客が魅力と思っている所は?

伊藤 観光客は年間100万人くらいが訪れ、リピーターも多いですね。この雄大な大自然と巨大な構造物のマッチングに感動されています。夏休みはファミリーでの観光客も増えますが、客層としては50代後半から70代くらいのシニアが多いです。
春は残雪の山々、夏は濃い緑で秋は紅葉が綺麗です。9月後半に雪が降ると、上から白・赤・緑の三段紅葉というめずらしい景色も運が良ければ見られますよ。

※打設(だせつ):型枠にコンクリートを流しこむこと。

大型生コン車1.5台分はある
9m³の巨大なコンクリートバケット。

黒部湖駅からトンネルを抜けると黒部ダム。

工事中の様子を説明するパネル。
ダム堤体の上部にケーブルクレーンに吊るされた
コンクリートバケット。

9月のウェブマガジン限定プレゼント

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【1名様】写真プリント「黒部湖」

クラスエルマガジン50夏号で特集した黒部ダム。後藤鐡郎カメラマンが撮影した新緑の黒部ダム湖の写真を額装してプレゼントします。
写真サイズ:半切(35.6×43.2cm)

応募締切 2019年9月30日(月)

  • ご応募は1名様1回までとさせていただきます。
  • 当選発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。
  • 重複応募の場合は無効とさせていただきます。
ご応募いただきありがとうございました。

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