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特集:やきもの〜お気に入りを探す〜 Vol.2	特集:やきもの〜お気に入りを探す〜 Vol.2

監修/望月 薫 文/みやじま なおみ
撮影/後藤 鐵郎・井上 誠・滝澤 敏彦

益子焼

益子は江戸時代から続く陶芸の里。益子焼は日用の道具や雑器を中心につくられてきましたが、20世紀初頭に起こった民芸運動によって見直され、「用の美」として日本中にブームを巻き起こしました。

50年以上にわたり年2回開催される陶器市は、合わせて60万人の人出があるほどのイベントに。なかでも人気の高い陶芸家の一人が佐々木康弘ささきやすひろさんです。

「掛け分け」という技法が特徴の作品で、土や釉薬ゆうやくは益子の伝統的なものを使っていますが、カラフルモダンなボーダー柄で、益子焼の新境地を開いています。「伝統的な益子焼は器に厚みがあり、その多くは色も単色か2色でぽってりとした民芸調のものでした。そこで、もう少し変化をつけられないかと何度も試作を繰り返すなかで、今のような作風になりました」。

このシリーズは、10年続けている定番作品。ほかの作風にもチャレンジしているそうですが、「一つのデザインを長く続けた先に、“自分だけの型”ができていた」と語ります。益子だけでなく、東京でも不定期に企画展示を開催しているとのこと。一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

佐々木康弘 Yasuhiro Sasaki 陶芸家
1981年 秋田県角館町生まれ
2006年 益子窯業指導所修了 築窯独立
2012年 栃木県茂木町にて制作を始める
https://valu.is/rokuroboys

美濃焼

食器類の生産シェアで全国の50%以上を占めるといわれる岐阜県の美濃焼。多治見市内の工房で制作している田中陽子さんの作品は、白い磁土に薄く施した白化粧をあえてクラック(ひび割れ)させ、土の表情をガラスで閉じ込めるという独特の風合いが魅力です。

「窯の炎によって、同じ焼き上がりのものは一つとしてありません。ひび割れの表情も穏やかだったり、激しかったり。窯を開けるまで景色がどうなるか分かりませんが、その違いがやきものの面白さであり、私の作品の個性にもつながると思っています」。自分では制御できない偶然性にまかせ、期待以上の良品ができあがったときの喜びは、とても大きいのだとか。

これほど透明感があり、厚みのあるガラスの層が磁器と一体になっている作品はほかになく、磁器とガラスを窯の中で一緒に焼くという手法も、田中さんがひたすらガラスの研究を重ねた結果。もともと「フレンチレストランで映える白い板皿」を目指していたという田中さん。非日常を感じさせるオブジェのような作品が、美濃焼に新鮮な風を運んでいます。

田中陽子 Yoko Tanaka 硝子・陶芸家
1983年 神奈川県生まれ
    多摩美術大学環境デザイン学科卒業
    多治見市陶磁器意匠研究所セラミックスラボコース卒業
2010年 金津創作の森 酒器コンペ入選
2014年 第10回国際陶磁器展美濃 坂﨑重雄セラミックス賞受賞
www.utsuwayayuuyuu.com(うつわや悠々)

備前焼

備前焼の最大の特徴は、釉薬を一切使わずに、高温で焼く「焼締め」という技法でつくられていること。使い込むほどに表情が変わり、味が出てきます。

静岡県出身の内田和彦さんは、やきものとの接点はありませんでした。ところが、就職した会社が岡山だったことで、訪ねてきた友人に「岡山にいるんだから、備前焼のぐい呑みで酒を飲もう」と持ちかけられ、購入したのをきっかけに興味を持ち始めたそうです。何度か購入するうち、「もしかしたら自分にもつくれるのでは?」と思い立ち、備前焼の協会を調べて連絡。備前陶芸センターを受験し、陶芸家の道を歩き始めたのは、内田さんが26歳を迎えた年でした。

その後、内田さんは伝統的な備前焼に新たな手法を取り入れていきました。塗土の研究を行い、含有される金属の違いや量をコントロールして、さまざまな色味で景色を作り上げることに成功したのです。現在も、備前焼の作家集団「けらもす」の一員として、グループ展やイベントなど、備前焼に新しい風を吹かせようと活動を続けています。

内田和彦 Kazuhiko Uchida 備前焼作家
1971年 静岡県三島市生まれ
1996年 島根大学大学院農学研究科修了
1998年 備前焼陶芸センター修了
1998年 備前の窯元に入窯
2005年 窯元解散を期に独立
http://bizen-uchida.com

伊万里鍋島焼

伊万里駅から車で十数分、大川内山おおかわうちやま地区は「秘窯ひようの里」と呼ばれ、気品のある青磁で有名な鍋島焼の産地です。鍋島藩のお抱え窯として、将軍や諸大名への献上品、贈答品など、特別な磁器を焼いてきました。

青木昌勝まさかつさんは、この地で窯元の家に生まれました。母の妙子さんは絵付けの女名人として祖父が開窯した「虎仙窯こせんがま」で、今も筆をふるっています。そこで修業を続けていた青木さんは、39歳で独立。自分の窯で作家活動を開始します。自分のつくりたいものを極めるため、あえて祖父とも母とも違う道を歩むことにしたのです。

大川内山の窯でしか使用することの許されない貴重な青磁石を使い、青木さんがつくりだしたのは、新たな色合いの青磁。通常、青磁は釉薬ゆうやくを厚くかけて、表面を輝かせますが、手法を変えマットな質感にすることで、青白い深みのあるオリジナル作品「氷青磁ひょうせいじ」シリーズが生まれました。

「窯を潰したくなければ青磁に手を出すな、と言われる難しいやきものですが、僕はこの青く深く透き通る色彩と品格に引き込まれて作陶しているんです」。青木さんの青磁への追求は始まったばかりです。

青木昌勝 Masakatsu Aoki 陶芸家
1978年 佐賀県伊万里市生まれ
2002年 大川内山の窯元に入窯
    伝統産業会館で中村清六先生に指導を受ける
2017年 有田国際陶磁展 佐賀県知事賞
    日本伝統工芸展 入選
2018年 独立 青木陶房開窯
    有田国際陶磁展 日本経済新聞賞
    西部伝統工芸展 九州朝日放送賞
    日本伝統工芸展 入選
    佐賀県協会美術展覧会 佐賀県芸術文化協会賞
https://www.masakatsu-aoki.com

波佐見焼

波佐見焼は、隣町の有田焼と同様、400年の歴史を持ちます。有田焼が献上品や輸出用の高級路線であれば、波佐見焼は、庶民の器として生産されてきました。

最近では、おしゃれな器として波佐見焼は人気があり、なかでも注目を集めているのが「natural69ナチュラルロック」です。ブランドを立ち上げた松尾一朗さんは、この地で60年以上、卸問屋として続く会社の3代目。通販サイトを始めたことで消費者との接点が全国に広がり、ニーズに応えるためにオリジナル商品をつくる流れになったそうです。

「もともとは、食器に興味がない20〜30代の方に買って欲しいという気持ちでした。若い世代に気に入ってもらえる絵が付いていたら喜んでもらえるかもしれないと、さまざまな絵柄に挑戦していきました」と、開発担当である奥様の愛子さん。

現在は11のシリーズがあり、全て自社のデザイナーが描いているとのこと。同じシリーズでもデザインや形によっては違う窯元に依頼して、最適な仕上がりと価格を実現しているそうです。

「価格と品質のしわ寄せがお客様に行くことだけは避けたい。窯元さんも納得して生産してもらえるもの、お客様も買って満足してくれるものを提供するのが僕らの役割です」と松尾さん。夫婦で庶民の器としての波佐見焼を守り続けます。

natural69
有限会社松尾商店

1954年 創業
陶磁器の卸販売・小売販売・デザイン
直営店/長崎県東彼杵郡波佐見町村木郷2311
TEL.0956-85-3427
営業時間/平日9:00-17:00
     土・日・祝日9:00-15:00
定休日/夏季休業日、年末年始
https://natural69-hasami.co.jp

松尾愛子さん(専務取締役) 松尾一朗さん(代表取締役)

九谷焼

油絵を思わせる鮮やかで絵画的な上絵付が魅力の九谷焼。正木春蔵まさきしゅんぞうさんは九谷焼が誕生した加賀市山代やましろ温泉で老舗旅館を営む家に生まれました。泊り客には、かの北大路魯山人もいたそうで、近所には魯山人に陶芸を手ほどきした初代・須田菁華すだせいかの窯があり、のちに正木さんも三代目菁華に師事することになります。

その作風は品格と華やかさを兼ね備えながらも、正木さんにしか表現できない遊び心にあふれていますが、あえて個性の追求はしないと言います。

「例えば古九谷こくたにの模様はほとんど写しといっていいほど古典に依拠しています。私は生まれてまだ70年の蓄積しかありませんが、九谷の歴史は数百年。古いものに倣いながら、新しい時代で器を生かしていく。そうすることで広がりが出ると思うんです」。

現在は、生地づくりを担当する奥様と二人三脚で趣向を凝らした四季折々の作品をつくり、全国のファンを楽しませている正木さん。オーソドックスなだけではない、絵心に心引かれます。

正木春蔵 Shunzo Masaki 陶芸家
1947年 石川県加賀市山代温泉に生まれる
1969年 大阪芸術大学 卒業
1970年 三代目・須田菁華に師事
1976年 山背陶房 設立。主に食器を磁器でつくる
1980年 山中温泉に移転、築窯

1月のウェブマガジン限定プレゼント

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波佐見焼き ボウル(3個)

長崎県波佐見焼の人気ブランド「natural69」の可愛らしいボウル。小鉢としてはもちろん、サラダやちょっとしたおかずなど盛り付けられます。

薄い紙に印刷された絵柄を、職人の手作業により器に印刷させる銅版転写という技術を使った商品。ひとつひとつに個性が生まれ、愛おしさを感じる食器です。
(直径10cm×高さ4cm)

応募締切 2019年1月31日(木)

  • ご応募は1名様1回までとさせていただきます。
  • 当選発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。
  • 重複応募の場合は無効とさせていただきます。

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